フィリピン最高裁で日本の協議離婚についても判決がでました。結論から言うと、日本の協議離婚でも、フィリピンの裁判所で承認されます。
2018/10/27
2018年6月25日判決(G.R.No.199515)及び2018年7月2日判決(G.R.No.226013)では正面から日本の協議離婚についても承認されることが確認されました。
但し既に2018年4月24日の最高裁大法廷での判決(G.R.No.221029)でフィリピン人から離婚を求めることができると判断が示されていたので、フィリピン人が離婚に応じた協議離婚も承認されることも織り込み済みであったともいえます。よって2018年4月24日の最高裁大法廷での判決(G.R.No.221029)は、フィリピンの一般誌やネットニュースでも配信され注目されましたが、その後の2つの日本の協議離婚を承認する判決については、あまり取り上げられていないようです。フィリピン人から離婚を求めることができるのなら、フィリピン人が協議により離婚に応じることが認められるのは、確かに当然の事ようにも思えます。
2018/10/29
フィリピン人の再婚の要件を定めた、フィリピン家族法26条の規定をもう一度復習すると、フィリピン人が再婚できる要件は、①フィリピン人と外国人との国際結婚が有効に成立していること、そして②外国で外国人が離婚を得ること(外国人が離婚すること=フィリピン人が離婚されること)、③離婚を得た外国人が再婚する要件を備えることであります。
①に関しては、2005年10月25日Republic vs Orbecido最高裁判決(G.R.No.154380)で、フィリピン人同士の結婚であったとしても、離婚時に一方が帰化して外国籍となっている場合も含むと既に判示されていますが、フィリピンの離婚承認判決は基本的には③の要件の確認の裁判であります。
③の要件とは、日本人男性とフィリピン人女性の国際結婚を想定すると、離婚成立後
協議離婚であれば、離婚届が市区町村長によって受理されたとして、日本人男性がいつ再婚できるか? との質問に答える事です。例えば平成30年10月10日の午前10時に離婚届が受理されたとして、日本人男性はいつ再婚できるようになりますか?
2018/10/31
例えば平成30年10月10日の午前10時に離婚届が受理されたとして、日本人男性はいつ再婚できるようになりますか?
答えは、離婚届けが受理された瞬間には、日本人男性は再婚できます。よって平成30年10月10日の午前10時には再婚できることになります。ところが日本の法例の何処に離婚届が受理された瞬間に日本人男性は直ぐに再婚できると記載されていますか?
フィリピンの裁判所でどのようにこの事を証明しますか?
前述の2005年10月25日Republic vs Orbecido最高裁判決(G.R.No.154380)では、このように判示されています。
「事実を主張する当事者はこれを証明する責任を負い、単なる主張は証拠ではないというのは確立した規則である。(中略)外国離婚判決が、我々自身の裁判所によって承認され得る前に、そのことを申し立てる当事者は、離婚を事実として証明し、かつ、当該離婚がそれを認める外国法に適合していることを示さなければならない。我々裁判所は外国法を公知の事実とすることができないため、かかる外国法もまた証明されなければならない。(戸籍時報No751翻訳参照)」
2018/11/06
2018年7月2日最高裁判決(G.R.No.226013)はフィリピン最高裁判所のウェブサイトから入手できます。
http://sc.judiciary.gov.ph/pdf/web/viewer.html?file=/jurisprudence/2018/july2018/226013.pdf
In a Decision dated July 18, 2016, the RTC denied Luzviminda's petition. It held that while a divorce obtained abroad by an alien spouse may be recognized in the Philippines - provided that such decree is valid according to the national law of the alien - the same does not find
application when it was the Filipino spouse, i.e., petitioner, who procured the same. Invoking the nationality principle provided under Article 15 of the Civil Code, in relation to Article 26 (2) of the Family Code, the RTC opined that since petitioner is a Filipino citizen whose national laws do not allow divorce, the foreign divorce decree she herself obtained in Japan is not binding in the Philippines;" hence, this petition.
地方裁判所は、2016年7月18日付けの判決において、ルズヴィミンダの申立てを棄却した。同裁判所は、判決が外国人の国の国内法において有効であることを前提として、外国人配偶者が海外で得た離婚のみがフィリピンで承認され得るのであって、フィリピン人配偶者、即ち申立人が離婚を獲得した場合には同様でないと述べた。地方裁判所は、民法第15条(『家族の権利義務または人の身分、地位及び行為能力に関する法律は、外国に居住するフィリピン人にも適用する』immigration.tokyo HP以下同様)により規定されている属人主義により、第26条2項に関連して、申立人は自国法が離婚を許可しないフィリピン人であるから、彼女が彼女自身によって日本で得た離婚はフィリピンでは効力を生じないと主張した。そのため当該申立となった。
先ずは、申立てに至る経緯ですが、地方裁判所の判断は保守的な従来の解釈を踏襲していることが解ります。フィリピンの地方裁判所の主張は「申立人は法律が離婚を認めていないフィリピンの国民であるため、民法第15条に定められた属人主義により、彼女自身が日本で得た離婚はフィリピンでは効力を生じない」でした。
2018/11/03
単なる主張は証拠でないので、記載がないから、再婚できるはずでしょうと主張するだけでは不十分で、関連法令を全て証拠として提出して、女性に関しては民法733条に再婚禁止期間の規定があり、法令の何処を読んでも、男性の再婚を禁止する規定の記載がないことを証明しなければならないでしょう。
ところが日本の法令は、あたりまえですが、全て日本語で、正式な英訳は存在しません。関連法案を英訳して、英訳の内容が正しいものであると証明することが先ず一つ目の関門になります。
そして次の関門が、成立した離婚が、前述の②の要件「外国で外国人が離婚を得ること(外国人が離婚すること=フィリピン人が離婚されること)」に該当する事を証明することです。
家族法26条の条文を素直に読む限りにおいては、フィリピン人は離婚を求めてはならず、外国で外国人が離婚判決を得て、その外国人が再婚する要件を具備した効果として、フィリピン人も再婚が認められると解釈されます。そうなるとフィリピン人が原告となり、外国で離婚訴訟を提訴して、離婚判決をフィリピン人が勝ち得た場合や、フィリピン人が離婚に合意したことによって成立する日本の協議離婚は「外国で外国人が離婚を得ること(外国人が離婚すること=フィリピン人が離婚されること)」に該当しないのではないかと争いがありましたが、それについての答えが今回の最高裁判決です。それでは日本の協議離婚についても承認されることが示された、2018年7月2日判決(G.R.No.226013)の内容から見ていきましょう。
2018/11/08
The issue for the Court's resolution is whether or not the RTC correctly denied Luzviminda's petition for recognition of the foreign divorce decree she procured with Ryoji
高裁での当該申立に関する争点は、ルズヴィミンダがリョウジから得た、外国での離婚承認申立ての、地方裁判所の棄却判決が正しいか否かである。
The petition is partly meritorious.
The rules on divorce prevailing in this jurisdiction can be summed up as follows: first, Philippine laws do not provide for absolute divorce, and hence, the courts cannot grant the same; second, consistent with Articles 15 and 17 of the Civil Code, the marital bond between two (2) Filipino citizens cannot be dissolved even by an absolute divorce obtained abroad;
third, an absolute divorce obtained abroad by a couple, who are both aliens, may be recognized in the Philippines, provided it is consistent with their respective national laws; and fourth, in mixed marriages involving a Filipino and a foreigner, the former is allowed to contract a subsequent marriage in case the absolute divorce is validly obtained abroad by the alien spouse capacitating him or her to remarry
その申立てを一部認容する。
この裁判が及ぶ離婚の規則は以下のとおり要約される。第一にフィリピン国法は絶対的な離婚を規定していない。よって最高裁も同様に認めない。第二に民法第15条及び17条との整合性からフィリピン人同士の婚姻は海外で絶対的離婚を得たとしても解消されない。第三に外国人である夫婦が海外で得た絶対的離婚は各々の国の法に適合していることを前提に、フィリピンでも承認される。第四にフィリピン人と外国人を含む国際結婚では、絶対的離婚を外国において、外国人配偶者によって有効に得られ、外国人配偶者が再婚の要件を満たした時に、フィリピン人配偶者にも再婚が認められる。
The fourth rule, which has been invoked by Luzviminda in this case, is encapsulated in Article 26 (2) of the Family Code which reads:
Article 26. x x X
Where a marriage between a Filipino citizen and a foreigner is validly celebrated and a divorce is thereafter validly obtained abroad by the alien spouse capacitating him or her to remarry, the Filipino spouse shall likewise have capacity to remarry under Philippine law
四番目の規則は、ルズヴィミンダの当該申立の主張のもととなっているが、家族法第26条2項で以下のように規定されている。
第26条
フィリピン人と外国人が有効に婚姻し、その後外国において離婚が有効に成立し、外国人配偶者が再婚する資格を得た場合は、フィリピン配偶者もフィリピン法に従い再婚する資格を取得する。(『日本加除出版 戸籍実務六法掲載翻訳』i.t.HP)
26条はブログの中でも何度も何度も紹介しましたが、もう一度確認すると、フィリピンでの離婚承認裁判(Judicial recognition of Divorce)とは26条の要件を満たすことを確認する裁判です。私の事務所に相談に来られるフィリピン人も大多数が何のためにフィリピンで裁判するかを正確に理解されていないようで、全く制度の異なる婚姻取消又は無効確認の訴訟(Annulment)と混合されている方が大変多いです。入国管理局の審査官等の中にも同様に混合されている方がおり、誤った指導をなされている場面によく遭遇します。
2018/11/12
This provision confers jurisdiction on Philippine courts to extend the effect of a foreign divorce decree to a Filipino spouse without undergoing trial to determine the validity of the dissolution of the marriage. It authorizes our courts to adopt the effects of a foreign divorce decree precisely because the Philippines does not allow divorce. Philippine courts cannot try the case on the merits because it is tantamount to trying a divorce case.
Under the principles of comity, our jurisdiction recognizes a valid' divorce obtained by spouse of foreigner nationality, but the legal effects thereof, e.g, on custody care and support of the children or property relations of the spouses, must still be determined by our courts.
The rationale for this rule is to avoid the absurd situation of a Filipino as still being married to his or her alien spouse, although the latter is no longer married to the former because he or she had obtained a divorce abroad that is recognized by his or her national law.
In Corpuz v. Sto. Tomas, the Court held:
この条項は、フィリピンの裁判所に対し、結婚解消の有効性を判断する裁判を経由することなく、外国の離婚判決の効力をフィリピン人配偶者に及ぼすための権限を付与している。この条項は、我々裁判所に海外の離婚判決の効果を、そのまま受け入れる権限を与えているに過ぎない。何故ならフィリピンでは離婚を認めていないからである。本案を審理することは、離婚事件を審理するのと同じこととなるのでフィリピンの裁判所では本案の審理はできない。
国際礼譲の原則の下で、わが国の裁判権は外国人配偶者が得た有効な離婚を承認するが、その法的効果、例えば未成年者の監護養育、配偶者の財産関係などについては、わが国の裁判所によって決定されなければならない。
この法則の根拠は、外国人配偶者は外国において外国の法律に基づいて離婚を得たことにより、もはやフィリピン人配偶者との婚姻が継続していないにも関わらず、フィリピン人配偶者のみ外国人配偶者との婚姻が依然として継続しているという不条理な状況を回避するためである。Corpuz 対. Sto.Tomas裁判の中では以下の通り判示されている:
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Corpuz vs Sto.Tomas裁判とは、2010年8月11日の最高裁判決であり、フィリピンの裁判所で離婚承認判決を得ないで、登録された外国の離婚の登録は無効であり、何ら法的効果が生じないと述べられました。この判決が実務に与えた影響は甚大で、少なくともこの判決までは、日本人に離婚された在日フィリピン人は、在日フィリピン公館に離婚の事実の記載された、前配偶者の戸籍謄本を添えて、離婚の事実を報告するだけで、婚姻要件具備証明書に代わる何らかの証明書を交付され、フィリピンで離婚承認判決を得ていなくても、日本で成立した再婚に関して、本国への報告(登録)が認められていました。ところが判決後暫く経過した、2012年11月30日を最後に本国への報告(登録)には、離婚承認判決文及びに裁判確定証明書が必要となりました。
2018/12/06
As the RTC correctly stated, the provision was included in the law “to avoid the absurd situation where the Filipino spouse remains married to the alien spouse who, after obtaining a divorce, is no longer married to the Filipino spouse." The legislative intent is for the benefit of the Filipino spouse, by clarifying his or her marital status, settling the doubts created by the divorce decree. Essentially, the second paragraph of Article 26 of the Family Code provided the Filipino spouse a substantive right to have his or her marriage to the alien spouse considered as dissolved, capacitating him or her to remarry. Without the second paragraph of Article 26 of the Family Code, the judicial recognition of the foreign decree of divorce, whether in a proceeding instituted precisely for that purpose or as a related issue in another proceeding, would be of no significance to the Filipino spouse since our laws do not recognize divorce as a mode of severing the marital bond; Article 17 of the Civil Code provides that the policy against absolute divorces cannot be subverted by judgments promulgated in a foreign country. The inclusion of the second paragraph in Article 26 of the Family Code provides the direct exception to this rule and serves as basis for recognizing the dissolution of the marriage between the Filipino spouse and his or her alien spouse.
Additionally, an action based on the second paragraph of Article 26 of the Family Code is not limited to the recognition of the foreign divorce decree. If the court finds that the decree capacitated the alien spouse to remarry, the courts can declare that the Filipino spouse is likewise capacitated to contract another marriage. No court in this jurisdiction, however, can make a similar declaration for the alien spouse (other than that already established by the decree), whose status and legal capacity are generally governed by his national law. (Emphases and underscoring supplied)
地方裁判所が適切に述べているように、規定は法律に包括されていた。「フィリピン配偶者が離婚を得た後も、もはやフィリピン人配偶者と結婚していない外国人配偶者と結婚が継続している不合理な状況を避けるため」この立法上の趣旨(『外国人配偶者が再婚できるようになっていても、残されたフィリピン人配偶者だけが再婚できないという不合理を回避することが立法の趣旨である』i.t.HP)は、離婚判決で発生した疑惑を解決することで、婚姻関係を明確にすることによるフィリピン人配偶者の利益のためである。
本質的に、家族法第26条の第2項は、フィリピン人配偶者に、外国人配偶者との婚姻が解消したとみなされる実質的な権利を与え、(結果として)再婚することを可能にしたものである。家族法第26条の第2項がなければ、その目的のために適正に提起された訴訟手続きであろうと、別の手続における関連する問題であろうと、外国離婚裁判の承認はフィリピンの配偶者にとって何の意味もないものになるであろう。我が国の法律が離婚を婚姻関係解消の一つの形であると認めていないからである。
民法第17条は、絶対離婚を禁止する方針は、外国で公表された判決によって覆されないことを規定している。家族法第26条第2項は、この規則に対する直接的な例外規定とされ、フィリピン人配偶者と外国人配偶者の婚姻の解消を承認する根拠となっている。
さらに、家族法第26条第2項に基づく訴訟は、外国離婚判決の承認に制約を受けない。仮に外国人配偶者が再婚の資格を具備したと裁判所が判断した場合、裁判所は同様にフィリピン人配偶者に再婚の要件を具備したことを宣言することができる。しかし、我々裁判所は、その地位と法的能力が一般的に自国の法律によって制約を受ける外国人配偶者(判決によって既に確定されているものを除く)について同様の宣言をすることはできない。
2018/12/10
According to Republic v. Orbecido III, the following elements must concur in order for Article 26 (2) to apply, namely: (a) that there is a valid marriage celebrated between a Filipino citizen and a foreigner; and (b) that a valid divorce is obtained abroad by the alien spouse capacitating him or her to remarry. In the same case, the Court also initially clarified that Article 26 (2) applies not only to cases where a foreigner was the one who procured divorce of his/her marriage to a Filipino spouse, but also to instances where, at the time of the celebration of the marriage, the parties were Filipino citizens, but later on, one of them acquired foreign citizenship by naturalization, initiated a divorce proceeding, and obtained a favorable decree.
共和国対オルベシド3世訴訟判決によれば、第26条(2)を適用するためには以下の要素を満たさなければならない。すなわち、(a)フィリピン人と外国人の間に有効に成立した婚姻であること (b)外国人配偶者が国外において離婚を得て、再婚する要件を備えたこと。同判決において、裁判所は最初に第26条(2)が、外国人がフィリピンの配偶者との離婚を得た判決に適用されるだけでなく、婚姻の時点では当事者がフィリピン人であったが、後にそのうちの一人が帰化によって外国籍を取得し、離婚手続を開始し、勝訴判決を得た事件についても適用される、と明らかにした。
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2019/1/1
However, in the recent case of Republic v. Manalo (Manalo),20 the Court En Banc extended the application of Article 26 (2) of the Family Code to further cover mixed marriages where it was the Filipino citizen who divorced his/her foreign spouse. Pertinent portions of the ruling read:
しかしながら、最近の訴訟である共和国対マナロ裁判(『2018.4.24 G.R.No.221029』最高裁大法廷判決 i.t.HP)において大法廷は、国際結婚したフィリピン人が外国人配偶者と離婚した場合も家族法第26条第2項の適用の対象とし、同条が適用される国際結婚の範囲をさらに拡大している。同判決の関連箇所は次のとおり。
Now, the Court is tasked to resolve whether, under the same provision, a Filipino citizen has the capacity to remarry under Philippine law after initiating a divorce proceeding abroad and
obtaining a favorable judgment against his or her alien spouse who is capacitated to remarry. xxx
We rule in the affirmative.
When this Court recognized a foreign divorce decree that was initiated and obtained by the Filipino spouse and extended its legal effects on the issues of child custody and property relation, it should not stop short in likewise acknowledging that one of the isual and necessary consequences of absolute divorce is the right to remarry.
Indeed, there is no longer a mutual obligation to live together and observe fidelity. When the marriage tie is severed and ceased to exist, the civil status and the domestic relation of the former spouses change as both of them are freed from the marital bond.
当裁判所は現在、同じ規定の下で、フィリピン人のほうから離婚の手続きを開始し、外国において勝訴判決を得て、外国人配偶者が再婚する資格を得た場合、フィリピン法による再婚資格を得るかどうかについて、裁決しなければならない。
我々最高裁は認容判決をする。
(『フィリピン人から離婚を求めることができる』i.t.HP)
xxxx
当裁判所は、フィリピン人配偶者によって提起され、得られた外国の離婚判決承認し、子の親権および財産関係に関する法的効果を及ぼした場合には、
絶対的離婚の通常の必要な結果のひとつ、再婚する権利を同様に承認すべきである。いやそれどころか、一緒に住んで貞節を守るという相互の義務はもはや存在しないのである。婚姻関係が断ち切られて存在しなくなったとき、前配偶者との民事上の身分関係と家族関係は、両当事者が婚姻の拘束から自由になるというように変化する。
xxxx
2019/1/3
Paragraph 2 of Article 26 speaks of "a divorce x x x validly obtained abroad by the alien spouse capacitating him or her to remarry." Based on a clear and plain reading of the provision, it only requires that there be a divorce validly obtained abroad. The letter of the law does not demand that the alien spouse should be the one who initiated the proceeding wherein the divorce decree was granted. It does not distinguish whether the Filipino spouse is the petitioner or the respondent in the foreign divorce proceeding. The Court is bound by the words of the statute; neither can We put words in the mouths of the lawmakers.
"The legislature is presumed to know the meaning of the words, to have used words advisedly, and to have expressed its intent by the use of such words as are found in the statute. Verba legis non est recedendum, or from the words of a statute there should be no departure."
第26条第2項は「外国人配偶者が国外で有効に離婚を得て、再婚する要件を備える」ことを説明している。この規定の明確で平易な解釈に基づけば、それは外国で有効に離婚を得ることが要件となっているに過ぎない。法律の文言上、外国人配偶者から離婚判決を得るための手続を始めることを求めていない。フィリピン人配偶者が外国での離婚手続の申立人であるか相手方であるかについては区別していない。裁判所は制定法に拘束されるし、立法者の言ったことと異なる言葉を付け加えてはならないのである。「立法府は、条文の語句の意味を知り、語句を熟慮の上に使用し、そして制定法上の語句を使用することによって立法府の意図を表現していると推定される。ローマ法の格言では、法律の文言から離れてはならない、とされ制定法の語句から逸脱すべきではない。」
Assuming, for the sake of argument, that the word "obtained" should be interpreted to mean that the divorce proceeding must be actually initiated by the alien spouse, stili, the Court will not follow the letter of the statute when to do so would depart from the true intent of the legislature or would otherwise yield conclusions inconsistent with the general purpose of the act. Laws have ends to achieve, and statutes should be so construed
as not to defeat but to carry out such ends and purposes.
議論の便宜上「獲得された」という語句は、離婚手続きが実際に外国人配偶者によって開始されていなければならないことを意味すると解釈されるべきであると想定したとしても、当裁判所は、制定法に文字通りに従った場合に、法律の立法目的から逸脱することになるし、又は法律の一般的な目的と一致しない決定を認めることになる場合には当裁判所はそのような制定法の文言に従うことはない。法律には成就すべき結果があり、制定法はそのような結果や意図に反せず、適合するように解釈されるべきである。xxx
2019/1/4
To reiterate, the purpose of Paragraph 2 of Article 26 is to avoid the absurd situation where the Filipino spouse remains married to the alien spouse who, after a foreign divorce decree that is effective in the country it was rendered, is no longer married to the Filipino spouse. The provision is a corrective measure to address an anomaly where the Filipino spouse is tied to the marriage while the foreign spouse is free to marry under the laws of his or her country. Whether the Filipino spouse initiated the foreign divorce proceeding is in the same place and in like circumstance as a Filipino who is at the receiving end of an alien initiated proceeding. Therefore, the subject provision should not make distinction. In both instance, it is extended as a means to recognize the residual effect of the foreign divorce decree on Filipinos whose marital ties to their alien spouses are severed by operation of the latter's national law
繰り返すが、第26条第2項の目的は、外国で言い渡された有効な外国の離婚判決の後に、外国人配偶者はもはやフィリピン人配偶者と婚姻関係にないのに、フィリピン人配偶者はいまだにその外国人と結婚した状態のままでいるという不条理な状況でいることを避けることである。その条文は自国の法の下で再婚が可能な状態であるのにもかかわらず、フィリピン人配偶者はいまだにその婚姻に拘束されるという不合理を修正する手段である。フィリピン人配偶者が外国離婚手続きを開始したかどうかに拘らず、婚姻の拘束から解放され、外国人配偶者が再婚する資格を具備するという効果は同じで、フィリピン人配偶者にも夫や妻が存在しないことになる。フィリピン人配偶者から外国での離婚手続きを開始しても同じ効果となり、外国人から開始してフィリピン人がその効果を享受するのと同じ結末となる。したがって、ここで問題となっている条文の趣旨に区別はない。どちらの場合においても、その条文が、外国人配偶者の国内法の執行によって、フィリピン人配偶者の婚姻関係を断ち切り残りの効果を認めるための手段となる。
A Filipino who is married to another Filipino is not similarly situated with a Filipino who is married to a foreign citizen. There are real, material and substantial differences between them. Ergo, they should not be treated alike, both as to rights conferred and liabilities imposed. Without a doubt, there are political, economic, cultural, and religious dissimilarities as well as varying legal systeins and procedures all too unfamiliar, that a Filipino national who is married to an alien spouse has to contend with. More importantly, while a divorce decree obtained abroad by a Filipino against another Filipino is null and void, a divorce decree obtained by an alien against his or her Filipino spouse is recognized if made in accordance with the national law of the foreigner
フィリピン人と結婚しているフィリピン人と、外国人と結婚しているフィリピン人とは同様の状況ではない。両者の間には現実的、実質的および本質的な差異がある。従って、与えられた権利と課せられた義務の両面において同様に扱うべきではない。疑いをはさむ余地もなく、外国人と結婚したフィリピン国籍の者が争うべき法律制度や手続きの違いと同様に、政治的、経済的、文化的、宗教的には相違があり、ことは疑いがない。更に重要なことに、フィリピン人がフィリピン人に対して外国で獲得された離婚判決が無価値で無効であり、フィリピン人配偶者が外国人に対して外国
で獲得された離婚判決は、その外国人の国の法律に準拠している場合は、有効と認められる。
On the contrary, there is no real and substantial difference between a Filipino who initiated a foreign divorce proceedings and a Filipino who obtained a divorce decree upon the instance of his or her alien spouse. In the eyes of the Philippine and foreign laws, both are
considered as Filipinos who have the same rights and obligations in an alien land. The circumstances surrounding them are alike. Were it not for Paragraph 2 of Article 26, both are still married to their foreigner spouses who are no longer their wives/husbands. Hence, to make a distinction between them based merely on the superficial difference of whether they initiated the divorce proceedings or not is utterly unfair. Indeed, the treatment gives undue favor to one and unjustly discriminate against the other
逆に、外国での離婚手続を開始したのがフィリピン人からであっても、フィリピン人が外国人配偶者のからの訴えで離婚判決を得たときであっても、現実かつ実質的な違いはない。フィリピン法と外国の法律の視点から、どちらのフィリピン人も外国で同じ権利と義務を持つと考えられている。彼らを取り巻く環境は似ている。もし第26条の第2項がなければ、両者はもはやお互いの妻/夫ではないそれぞれの外国人配偶者と依然として結婚していることになる。したがって、彼らが離婚手続を提起したかどうかの単なる表面的な違いだけに基づいて両者を差別することは、まったく不公正である。実際に、その取扱いが一方に対して過度に好意的で、他方に対して不当に差別している。
2019/1/5
The declared State policy that marriage, as an inviolable social institution, is the foundation of the family and shall be protected by the State, should not be read in total isolation but must be harmonized with other constitutional provisions Aside from strengthening the solidarity of
the Filipino family, the State is equally mandated to actively promote its total development. It is also obligated to defend, among others, the right of children to special protection from all forms of neglect, abuse, cruelty exploitation, and other conditions prejudicial to their development To Our mind, the State cannot effectively enforce these obligations if We limit the application of Paragraph 2 of Article 26 only to those foreign divorce initiated by the alien spouse. x x x x
結婚は、不可侵の社会制度として、家族の基礎であり国家によって保護されるべきであると宣言された国家政策は、完全に単独に読まれるべきではなく、他の憲法規定と調和していなければならない。フィリピン人の家族の結束を強化することとは別に、国家はその全体の発展を積極的に促進する義務も等しく負っている。 育児放棄、虐待、残酷な行為、搾取そして育成を阻害するその他の状態の形成から児童の権利を特別に保護することは、とりわけ、国家の義務である。当裁判所の考えでは、第26条第2項の適用を、外国人配偶者によって提訴された外国人離婚のみに制限する場合には、これらの義務を果たすことはできない。
A prohibitive view of Paragraph 2 of Article 26 would do more harm than good. If We disallow a Filipino citizen who initiated and obtained a foreign divorce from the coverage of Paragraph 2 of Article 26 and still require him or her to first avail of the existing "mechanisms" under the Family Code, any subsequent relationship that he or she would enter in the meantime shall be considered as illicit in the eyes of the Philippine law. Worse, any child born out of such "extra-marital" affair has to suffer the stigma of being branded as illegitimate. Surely, these are just but a few of the adverse consequences, not only to the parent but also to the child, if We are to hold a restrictive interpretation of the subject provision. The irony is that the principle of inviolability of marriage under Section 2, Article XV of the Constitution is meant to be tilted in favor of marriage and against unions not formalized by marriage, but without denying State protection and assistance to live-in arrangements or to families formed according to indigenous customs.
第26条第2項の制限的な見解は、利益よりも害を及ぼすであろう。もし第26条第2項の下に自ら外国離婚を始動し獲得しフィリピン人を当裁判所が却下した更に家族法に基づく既存の「仕組み」を最初に利用することを要請した場合は、その後で彼又は彼女が築いた事実上の夫婦関係は、フィリピン法の観点では違法とみなされる。さらに悪いことに、そのような「婚姻外」の情事から生まれたどの子供も、非嫡出子であるという烙印を押さなければならなくなってしまう。確かに、これらは裁判所が当該規定の制限的解釈を続ける場合、親に対してだけでなく、子供に対しても発生する有害な結果のうちのいくつかにすぎない。皮肉なのは、憲法第15条第2節に基づく結婚の不可侵の原則は、結婚に有利に、婚姻外の関係に反するように意図されているが、同棲や固有の慣習によって形成された家族に対して、国家による保護や支援を否定するものではない。
This Court should not turn a blind eye to the realities of the present time. With the advancement of communication and information technology, as well as the improvement of the transportation system that almost instantly connect people from all over the world, mixed marriages have become not too uncommon. Likewise, it is recognized that not all marriages are made in heaven and that imperfect humans more often than not create imperfect unions. Living in a flawed world, the unfortunate reality for some is that the attainment of the individual's full human potential and self-fulfillment is not found and achieved in the context of a marriage. Thus, it is hypocritical to safeguard the quantity of existing marriages and, at the same time, brush aside the truth that some of them are of rotten quality.
Going back, We hold that marriage, being a mutual and shared commitment between two parties, cannot possibly be productive of any good to the society where one is considered released from the marital bond while the other remains bound to it, x x x. (Emphases
and underscoring supplied)
当裁判所は、今の時代の現実に目を背けるべきではない。コミュニケーションと情報技術の進歩や、世界中の人々を殆ど瞬時につなぐ交通システムの改善とともに、国際結婚も珍しいものでなくなった。同様に、すべての結婚が至上の幸福の中でなされるわけではなく、その不完全な人々だからと言って不完全な夫婦になる訳ではないと認識されている。欠陥のある世界に住むと、個人の完全な潜在能力と自己実現の達成が、結婚の過程において可能とならず、達成されないということも不幸にも起こりうる。従って既存の婚姻の数を保護すると同時に、その一部は陳腐化したものであるという事実を払拭してしまうのは偽善的である。
話を戻すと、当裁判所は、婚姻すなわち二人の当事者間で相互に約束をわかちあうもので、一方婚姻関係から自由になったにもかかわらず他方がまだ婚姻関係に縛られている場合には、その結婚は社会において全く意義がないと考える。がない。
2019/1/6
Thus, pursuant to Manalo, foreign divorce decrees obtained to nullify marriages between a Filipino and an alien citizen may already be recognized in this jurisdiction, regardless of who between the spouses initiated the divorce; provided, of course, that the party petitioning for the recognition of such foreign divorce decree - presumably the Filipino citizen - must prove the divorce as a fact and demonstrate its conformity to the foreign law allowing it.
In this case, a plain reading of the RTC ruling shows that the denial of Luzviminda's petition to have her foreign divorce decree recognized in this jurisdiction was anchored on the sole ground that she admittedly initiated the divorce proceedings which she, as a Filipino citizen, was not allowed to do. In light of the doctrine laid down in Manalo, such ground relied upon by the RTC had been rendered nugatory. However, the Court cannot just order the grant of Luzviminda's petition for recognition of the foreign divorce decree, as Luzviminda has yet to prove the fact of her "Divorce by Agreement obtained in Nagoya City, Japan and its conformity with prevailing Japanese laws on divorce. Notably, the RTC did not rule on such issues. Since these are questions which require an examination of various factual matters, a
remand to the court a quo is warranted.
このように、マナロ判例に準じて、フィリピン人と外国人の間の婚姻を消滅させるために獲得された外国離婚判決は、配偶者のどちらが離婚手続きを開始したかに関わらず、当司法権のもとに認めることができる。もちろん、そのような外国離婚判決の認定申請をした当事者(多分フィリピン人)は、離婚を事実として証明し、外国法に準拠していることを証明しなければならない。
地裁の判決を文字通り読むと、当事件において当司法権の下にルズヴィミンダの外国離婚判決を承認する申立を棄却したのは、彼女がフィリピン人として認められていない離婚手続きを自ら開始したという唯一の理由に基づいていたことに帰着する。マナロ裁判で示された原則に照らして、そのような地裁が根拠とした理由は無価値であると言い渡された。しかしながら当裁判所はルズヴィミンダの外国離婚判決を求める(地裁)判決をこのまま有効と命じることはできない。ルズヴィミンダはまだ日本の名古屋市で得た「協議離婚」の事実と日本で施行されている離婚に関する日本の法律に準拠していることを証明していない。地裁がそのような問題に基づいて判決をしていないのは明らかである。様々な事実に関する事柄を審査する必要がある問題であるため、下級審に差し戻すのが正当である。
WHEREFORE, the petition is PARTLY GRANTED. The Decision dated July 18, 2016 of the Regional Trial Court of Quezon City, Branch 105 in SP. PROC. NO. Q-12-71830 is hereby REVERSED and SET ASIDE. Accordingly, the instant case is REMANDED to the court a quo for further proceedings, as directed in this Decision.
SO ORDERED
従って本件申立ては一部認容とする。ケソン市の地方裁判所2016年7月18日の決定、裁判所No.105。代理人 Q-12-71830はここに破棄する。この判決で判示されているように、本件は下級審に更なる手続きのために差し戻す。
以上、申し渡す。
2019/1/17
最後まで翻訳を一気にしてしまいました。
翻訳の下訳をしてくださった豊玉行政書士事務所の飯島先生、及びに添削、ご指導くださったYK international 行政書士事務所の仁瓶先生には
この場を借りて感謝申し上げます。
さて、 「フィリピン人が協議離婚に応じてはいけない。」、「協議離婚に応じたフィリピン人は再婚できない」といった解釈は、フィリピン民法15条の「家族の権利義務または人の身分、地位および行為能力に関する法律は、外国に移住するフィリピン国民にも適用する」との規定により、海外で生活するフィリピン人にも離婚を禁止するフィリピン法が適用されるためであります。
よって外国に移住するフィリピン人も離婚できない、だから外国人と婚姻したフィリピン人の例外規定である家族法26条2項の規定を狭く解釈して、外国で外国人が離婚を得た場合にのみ、フィリピン人も再婚が認められる、つまりフィリピン人が離婚を得た場合、言い換えるとフィリピン人から離婚を求めた場合にはフィリピン人は再婚の要件を満たさないという解釈成り立っていました。
しかしこのブログで原文と和訳を掲載させていただいたフィリピン最高裁判決(G.R.No.226013)では、共和国対マナロ裁判(2018.4.24 G.R.No.221029)から多くを引用して以下のように判示されました。
「フィリピン人配偶者が外国離婚手続きを開始したかどうかに拘らず、婚姻の拘束から解放され、外国人配偶者が再婚する資格を具備するという効果は同じで、フィリピン人配偶者にも夫や妻が存在しないことになる。フィリピン人配偶者から外国での離婚手続きを開始しても同じ効果となり、外国人から開始してフィリピン人がその効果を享受するのと同じ結末となる。したがって、ここで問題となっている条文の趣旨に区別はない。どちらの場合においても、その条文が、外国人配偶者の国内法の執行によって、フィリピン人配偶者の婚姻関係を断ち切り残りの効果を認めるための手段となる。」
「今の時代の現実に目を背けるべきではない。コミュニケーションと情報技術の進歩や、世界中の人々を殆ど瞬時につなぐ交通システムの改善とともに、国際結婚も珍しいものでなくなった。同様に、すべての結婚が至上の幸福の中でなされるわけではなく、その不完全な人々だからと言って不完全な夫婦になる訳ではないと認識されている。欠陥のある世界に住むと、個人の完全な潜在能力と自己実現の達成が、結婚の過程において可能とならず、達成されないということも不幸にも起こりうる。従って既存の婚姻の数を保護すると同時に、その一部は陳腐化したものであるという事実を払拭してしまうのは偽善的である。」
このように判決を見ていくと、共和国対マナロ裁判(2018.4.24 G.R.No.221029)が確定した時点で、協議離婚が承認されることも包含されていたと言えます。
2019/8/22
7月10日のフィリピンに在留する邦人向けの新聞に衝撃的な記事が掲載されました。
「フィリピン控訴裁判所は9日までに、比人と外国人の離婚が外国で成立した場合、比国内でも裁判なしで離婚が成立するとの判断を示した。
2015年に認められた日本人と比人女性の離婚に対し、比政府の法務を担当するカリダ法務局長が「比の法と公共政策に反する」として異議を申し立てた裁判での判断。控訴裁は「日本の法が比人の配偶者の離婚を許容するならば、比人のみ比の法で(離婚を)禁じることは不当」として申し立てを棄却した。」
記事が掲載された日は大慌てで情報収集に務めましたが、直ぐに誤報であることがわかりました。フィリピン控訴審(CA-G.R.CV NO.110610 MORA vs. MONTAWA and PSA)裁判の内容をよく見ると、裁判所の判決なしでとの表現がありますが、外国において、裁判所の命令若しくは判決によって離婚が成立しなくても、フィリピン家族法26条2項の要件を満たす、つまりフィリピン人が再婚の要件を満たす事を判示しているだけです。裁判所の命令や判決なしでとは、つまり外国で協議離婚が成立しても、フィリピン人は再婚の要件を満たす事を言っており、以前このブログで紹介した、2018年6月25日最高裁判決(G.R.No.199515)及び2018年7月2日最高裁判決(G.R.No.226013)と同じです。今回の控訴審も2018年4月24日の最高裁大法廷での判決(G.R.No.221029)を踏襲しています。
何故、昨年既に最高裁で判断が示された論点を今更控訴審でまた争っているのかが、不思議ですよね??? そこで私の顧客の離婚承認裁判を全て担当してもらっている、、パディリア弁護士を訪ねてお話しを伺ってきました。多数のフィリピンの弁護士が日本の協議離婚はフィリピンの裁判所の承認を得られない、つまり再婚の要件を満たさないと主張するなか、パディリア弁護士は、この控訴審の他、このブログで紹介した全ての最高裁判決をひとりで担当し、正に孤軍奮闘して、勝訴判決を積み重ねてきた弁護士です。話好きの方ですが、英語が得意ではない私にも理解できるように平易な言葉を選んで話してくれるのでいつもとても助かっています。
さて結論から、一言でいうと「フィリピンだから」です。パディリア弁護士もこれがフィリピンだからしょうがないよねって感じでした。もう確定しているはずの論点を国側は何度も何度も蒸し返してきます。
国民の多くがカトリック教徒であるフィリピン人の思想の根本には善悪の基準があり、離婚を善とするか、悪とするかなのです。信仰に基づいた人の善悪の基準はそう簡単には変わりません。玉虫色の離婚法制は、ひとつの解釈を裁判所が示しても、少し角度を変えるとまた別の色(解釈)が出てきます。もし離婚を善悪の基準でサタンの仕業である悪と捉えているのなら、いつまでも悪(離婚)に対して戦いを挑んでくるのでしょう。